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無知蒙昧のブログ

無価値、無意味な覚書

目指した理想と現実、カジュアルゲームの隠れた難しさ

最近あるゲームにハマっている。
そのゲームは所謂放置ゲームを目指したカジュアルゲームでタイトルを「しくじり勇者は優柔不断 ‐勇者ヤスヒコと魔界の冒険‐」という。
ゲームの内容としては、キャラクターを強化しながら魔界を先へ先へと進んでいく一般的な放置ゲームだ。
私はあまりカジュアルゲームをプレイしない事もありプレイするまで知らなかったのだが、前作に当たる「中年騎士ヤスヒロ」が結構なヒットをしていたために作られた謂わばマイナーチェンジ作品のようだ。
今現在そちらはプレイしていないので正確ではないことも含まれると承知して頂きたいが今作は前作から更に要素を増やしやりこみ度を上げたことを売りにして行きたかったように思われる。
前作は既に1年以上配信されプレスリリースサイトを見る限り様々なイベントも行いユーザーからの評判も良いようである。
そんな状態でのマイナーチェンジ作、前作の失敗、或いは成功を糧として作られた今作は前作を上回る評判に……はならなかった。

SGIのプレスリリースで今作を知った私が見たのは低評価の嵐だった。
曰く、爽快度が足らない。
曰く、ザコ敵が強すぎる。
曰く、タップダメージが弱すぎる。

……etc

私自身プレイしていて同じことを感じていたので「まぁ妥当な評価だろうな」とは思った。 レビューを見ていても分かるが低評価は書きつつも世界観、特に配信元のポラリスエックス様の社長であるヤスヒロ氏が書いているというキャラ同士の掛け合いがとにかく面白くそこに引き込まれているものの肝心のゲームのバランスが絶望的なのでどうにかしてくれという謂わば嘆願だった。
運営にしてもまさかこんな評価になるとは夢にも思わなかったようで丁寧に一つ一つのレビューに受け答えし、問い合わせからの改善提案も一蹴することなく中身を精査し社内共有を図ってくれている。
朝4時に送った改善提案に朝6時に返信し翌日のアップデートに載せてくるほどである。

なぜ失敗したのか

ではなぜそもそも豊富な運営経験があったにも関わらずこんなバランス調整になってしまったかと言えば偏に複雑すぎたためだろう。
1年以上続けてきた前作でやれなかった理想をこれでもかと詰め込んだ結果ブラックボックスが出来上がってしまったのだ。
実際にプレイして、ゲーム内のテキストを読んでいる感じ、開発も何がどう作用しているのか分かっていないような気がする。
装備、鍛錬、仲間、コスプレ、魔道具、魔法、スキル、アイテム詰め込んだあらゆる要素から入った入力が攻撃力や体力として出力してくるわけだが、どうにもテキストから読んだ印象と実際に出力として作用している部分が異なっている。
実際にはどこかしらに作用しているのだがテキストから受ける印象と実際の出力があまりに異なっているためレビューでも作用していないと不具合報告を受けている。
そして仮にそれを正確なテキストに修正しヘルプかなにかを用意して計算式を掲載することで情報を正確にユーザーに伝えたとしよう。
次に来る問題もやはり複雑さだ。

放置ゲームにおいて最も簡単にバランスが調整出来るのは、キャラクターのレベルだけが入力で、攻撃力と体力のみを出力する場合だ。
この場合、攻撃力や体力が依存するのはレベルだけであり、敵の強さに合わせたキャラクターの強さになるように敵を倒した際に得られるEXP = キャラクターのレベルを調整すれば完了である。
しかし今作においては、キャラクターレベル、装備(+鍛錬)、魔道具、魔法、スキル、アイテム(課金)が全て独立なパラメータとして存在している。 そのためかなり複雑なバランス調整が必要になる。

複雑さの理由

もしも私がバランスを調整しろと言われても間違いなく匙を投げる。
先に述べた簡単なものなら適当な数式を作り出して後はエクセルでサーッと実際の値を出して終わりでいいのだが、こうも複雑になるとそうもいかない。
N層~N+9層を突破するのに想定するキャラクターレベルを決め、そのキャラクターレベルまで上げるのにかかる金額から装備の鍛錬度合いを決め、N層までで得られるキューブ(魔道具育成アイテム)から魔道具の補正を決め、ダンジョンの解放度合い(マップの進捗度合い)から前提とする武器の製作具合を決めとあらゆる想定をしてから敵の強さとそのEXP(ゴールド)を決める必要がある。
言い方を変えれば数式から出すどころか0から全て調整することすら無理だ。
武器の製作度合い一つとっても武器の製作には素材が必要で素材が手に入るダンジョン攻略には一日あたりの入場制限があり、武器を製作するのに更に費用がかかり、費用であるニャンコインもまたダンジョン産、そしてその取得量を魔道具に依存し、魔道具の育成具合はステージに依存しと考えてると馬鹿らしくなってくる。

最後に

私とは頭の作りの違う頭の良いえらーい学者様も物事を考える際単純化することでなんとか式として表しているのだ。
私にはこのブラックボックスを快刀乱麻を断つが如くスマートに解決することは出来ない。
各階層毎にテストケースを作り嫌になるほど細かい調整を地道に続けていく他ない。

私はこのゲームに製作の理想を見た。 そしてこのゲームのバランスにその現実を見た。 理想に共感し、現実に同情した。 私は理想を追求する「しくじり勇者」の運営を陰ながら応援しています。